CarbonRom、2011年Xperiaへの公式ROM提供を中止

 残念ですが、CarbonRomの公式サイトから2011年Xperiaのコードネームが消えてしまいました。理由は私には分かりませんが、XDAにて2011年Xperia向けのROMと開発状況を提供なさっていたvishal_android freak氏によると公式サポートから外れたのは間違いないようです。

 

 原文は各自読んでいただくとして、要約するとレガシーなデバイスなためメンテナンスが難しかった事と、2011年Xperia向けの9つのROMを検査するのがvishal_android freak氏にとってかなり負担だった事。そのため中々ROMのアップデートがされず、「なぜアップデートしないのか」という質問不満をCarbonRom開発者のFacebook、Twitter、Google+に皆が書き込んだのが不味かったようです(訳正しいか不安…)。

 

 思えばLegacyXperiaもスレッドの初めに書いてあるハウトゥーや注意書きを呼んでいない質問が多すぎてmikeioannina氏の怒りを買いスレッドが閉鎖されましたし、唯一のサポートスレも注意書きを無視した質問とそれに対する高圧的なレスでかなり空気が悪くなり、一時期荒らしまで発生したそうです。

 

 LXに比べ過疎スレだった事もあってかCarbonRomの各スレッドは比較的平和だった気がしますが、今年の2月初めまでは週一のペースでアップデートが続き、それが3月終わりには月2回ほどに、そして4月は一回のみで5月は一度もアップデートされないという状況が皆をヤキモキさせたのかもしれません。それと決して責める意図はないのですが、vishal_android freak氏が今月中頃まで「もうすぐアップデートするから」というレスを何度がされていたのも焦らせてしまったのかなと。

 

 しかしvishal_android freak氏は「unofficialで開発を続けるかも」というようなレスもされていますし、LegacyXperiaも未だ盛んに開発が続けられているわけです。本当に凄いし尊敬しますし、なぜ私は受け身で恩恵を授かるだけなのかと非常にモヤモヤします。

 

 ちなみに、VanirAOSPはかなりのペースでROMが公開されております。こちらも多機能なROMで、HALOという機能がカッコイイROMです。

ST15iでCarbonROM kitkatレビュー

 IONに対応したCarbonROM CM11(Android4.4.2)2014年4月20日版のレビューです。初めに結論を言うと良いROMです。IONってなに?という方はこちらをご覧ください。

 

 以前はCarbonROMのSmurtlon公式ダウンロードページにいくつかPMEM採用カーネルのROMがあったのですが、今の所はION採用版しかありません。おそらくサーバーを移動した際に消してしまったのではないかと思われます。

 

CarbonROMとは

 LegacyXperia(略してLX)から派生したカスタムROMです。そのためブート画面ではLXのマークが表示されます。LXは素のAOSP(NexusのようなピュアなAndroid)を2011年製Xperiaに移植する目的で誕生しましたが、CarbonROMはデフォルトで便利機能を詰め込んだROMとなっています。こちらからダウンロードしてください。Downloads « CarbonROM XDAのスレッドはこちら。[ROM][AOSP][Nightly/Release] CarbonRom KitKat [ Mini/Mini Pro/Active/LWW ]

 

 

Pieがかっこいい

 CarbonROMには色々な便利機能が付いているのですが、特に特徴的な機能はPieだと思います。これがPieです。

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 左端、下、右端に設置する事が出来ます。次は右に設置してみましょう。指を右端に薄く浮かぶ半円に重ねると…

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 白くなりました。この状態で指を離せば右に設置されます。

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 Pieの起動方法は設置した画面端から内側へサッとなぞります。右端に設置したなら右端から指を左へ動かし、下なら下から上へ動かします。

 

 

難点

 フリック動作と重なるとよく誤作動します。下に設置すると文字をフリック入力する時、「ん」を出そうとしたのにPieが起動します。左に置くとGmailやGoogle Playを使うときによく誤作動します。右が一番向いていると思いますが、右持ちの場合Pieを出すのが少し大変です。

 

 

Pieを有効にしよう&ボタンを変更しよう

 設定>Carbon Fibers>Pie>SlimPieにチェックを付けることで有効になります。続けて>Buttonsに移動してこの画面。

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 デフォルトのボタンは左へフリックすることで消すことが出来ます。「+」を押せばボタンが追加出来ます。Buttons Second layerも同様です。

 

 

その他機能

 通知をロックスクリーンで強調。ダウンロード、アップデートのスピードをステータスバーに表示。通知に何もないときだけ常にQuickPanelを開く。etc.

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電池持ち

 文句なしです!

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気になった事

 全体的に質の高い素晴らしいROMですが、バグも少しあります。例えばWiFiテザリングを利用したあとOFFにしても電波が消えません。再起動する必要が有ります。音楽を聴いていると操作を受け付けなくなる事があり、全体的に非常に重くなります。これも再起動する必要があります。

 

 フォントはCJKフォント、いわゆる中華フォントです。中華フォントでは「置・刃」はこのように表示されます。

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 このように日本語ネイティブからすると違和感のある漢字がありますが、ほとんどの漢字は普通です。私は気にならないのでフォントを変えておらずアドバイス出来ません。申し訳ないです。変える際は先にCWMでバックアップを取ると安心です。

 

 

注意してほしいこと

 このROMはカーネルにIONを採用しています。そのため焼く際はまず公式ICSを焼き、リカバリーに入り、SDをマウントし、システムをフォーマットし…というmikeioannina氏推奨の方法をした方がいいと思います。XDAではこの方法をクリーンインストールと呼んでいます。

 

 クリーンインストールを知らない方はこちらの「Steps required for correct installation」をご覧ください。CWMはカーネルに内蔵されています。

 {Mini/MiniPro/Active/Live}[DEV][KitKat 4.4.1][CM11.0] LegacyXperia

 

 そして2011年製XperiaにCarbonROMをビルドして提供してくださっているvishal_android freak氏は現在学生であり、かなり勉強で忙しくなってしまったらしいので頻繁なアップデートは期待できないかもしれません。可能ならご自身でビルドしてみるのもいいでしょう(スペックが低いパソコンだと10時間以上ビルドに時間がかかるかも…)。私は開発者様に感謝をしつつゆっくり待ちます。

Legacy Xperia、新たなステージへ

 2014年5月18日現在、2011年製XperiaのカスタムROMに大きな動きがありました。それは新しいメモリ管理システム、IONの採用です。 IT素人による解説です。

 

 今月、Legacy Xperiaとそこから派生したCarbon ROM・VanirAOSPの3つ全部がカーネルにIONを採用したNightly ROMを公開しました。他にもあると思いますが私が把握しているカスタムROMはこの3つです。

 

IONとは?

 まずIONの説明の前に。スマートフォンはSoC(cpuみたいなやつ)とハードウエア(画面、スピーカー、カメラなど)の間にバッファメモリというものを置き、それを経由して情報をやり取りしています。例えばカメラアプリを起動して操作するとき、その情報は直接SoCとやり取りされません。まずバッファメモリに蓄えられ、それをSoCが読み取り、次に処理した情報をまたバッファメモリに書き込み、それをカメラアプリが読み込むといった流れになっています。※IT素人による解説です。ここでやり取りされる情報はカメラアプリならカメラアプリのみが利用する情報であり、他のアプリは利用しません。こういったSoCとのやり取りで生まれる情報は一時的であり、常に消され、その消されたスペースは別のアプリが利用します。

 

 ICSより古いバージョンのAndroid OSではこのバッファメモリの管理はSoCベンダーが行う必要が有りました。つまりSoCベンダーがSONYとSamsungに自社のSoCを売るなら二社分のメモリ管理用のドライバを提供する必要があったのです。これでは大変だということでGoogleは「ICSからOSレベルでメモリ管理システムを採用する」ことを決定します。このシステム名がIONです。

 

 

問題発生

 Snapdragonを販売するQualcommのメモリ管理システム名はPMEMといい、2011年製Xperiaの中でも動いています。これは公式ICSを焼いた場合でも変わりません。

 

 これらXperiaにJB以降のカスタムROMを焼いた場合、問題が発生します。例えば、CM10を焼いた2011年製XperiaでGoogle MAPを開くと画面がガクガクと揺れます。これはQualcommが提供するグラフィックドライバがIONのみになった事が原因です。実際、バージョン6.14.5以前のGoogle MAPは全く問題無く動きます。これはGBが利用できる最後のバージョンです。

 

 この問題を解決するにはカーネルを作り替えてIONを採用する必要が有ります。しかし、IONを採用した場合、今度はカメラが動かなくなる問題が発生します。なぜならカメラを動かすドライバはSONYによって作られており、このドライバはPMEMでしか機能しないからです。つまり、PMEM向けのドライバとION向けのドライバが一緒に動く環境が一番の理想であり、これはとても困難な事でした。

 

 

解決策

 私は詳しく理解できていませんが、IONの上にPMEMを置くことでカメラを犠牲にすることなくIONに乗り換える方法がGalaxy S Plusのハッキングチーム、とくにその中のChristopher83氏により開発されました。そしてその手法は2011年製Xperiaでも有効だったそうです。これによりLegacy Xperiaチームの中でもIONとPMEMのハイブリッドカーネルの開発が続けられていました。それがようやく形になったため最近のカスタムROMにはIONが採用される傾向があります。

 

 

参考にしたサイト

What is ION?

https://github.com/LegacyXperia/Wiki/wiki/What-is-ION%3F

 

The Android ION Memory Manager

http://android-revolution-hd.blogspot.jp/2013/08/the-android-ion-memory-manager.html